専門家(不動産鑑定士)の視点から見た相続対策の進め方

はじめに:相続対策は「早めの準備」がすべて

相続は「いつか来るもの」ですが、実際には突然発生することも少なくありません。
相続発生後に慌てて対応すると、税負担や不動産の分割トラブルなど、避けられたはずの問題に直面してしまうことがあります。

そこで重要になるのが、不動産の専門家である不動産鑑定士が関わる“事前の資産整理”です。
鑑定士の立場から見ると、相続対策は単なる税金対策ではなく、
「資産の現状を正しく把握し、円満な承継につなげるための準備プロセス」です。


親主導×子参加型で進めるのが理想

相続対策は基本的に「親(現所有者)」が主導して進めるべきですが、
実際に承継を受ける「子世代」が早めに参加することで、よりスムーズに進めることができます。

🔹親が主導すべき理由

  • 財産の最終的な所有者であり、意思の尊重が必要

  • 遺言書や贈与など、親の決断が法的手続きを左右する

  • 「自分の財産を自分で決める」ことで心理的な整理にもなる

🔹子が参加すべき理由

  • 実際に相続後の管理・運用を担うのは子世代

  • 兄弟間のトラブルを未然に防止できる

  • 節税や不動産活用の視点で提案できる場合も多い


ステップ別:不動産鑑定士が考える相続対策の進め方

① 財産の全体像を「見える化」する

まず必要なのは、「何をどれくらい持っているのか」を正確に把握することです。
現金・預貯金・株式などは明細を見れば分かりますが、不動産は評価が難しい資産です。

▶ 不動産鑑定士による不動産の時価評価(鑑定評価)を行うことで、
相続税評価額とは異なる「実勢に基づいた資産価値(時価)」を把握できます。
これにより、将来的な分割方針や贈与プランを立てやすくなります。


② 「分け方」を想定して公平性を検討する

相続トラブルの多くは「公平に分けたつもりが、不公平だった」ことが原因です。
たとえば、同じ土地でも立地・形状・利用状況によって価値が大きく異なります。

不動産鑑定士は、

  • 個別要因を反映した時価

  • 共有や分割後の減価

  • 路線価との乖離分析
    などを踏まえて、客観的な価値配分の基準を提示します。


③ 税理士・司法書士との連携で具体策を形に

鑑定評価をもとに、税理士が相続税対策を検討し、司法書士が登記・遺言書の作成を進めます。
不動産鑑定士はそのベースとなる「価格の根拠資料」を提供する役割を担います。

特に以下のようなケースでは、鑑定士の関与が有効です:

  • 複数の不動産を保有しており、どれを誰に相続させるか悩んでいる

  • 相続税評価額と時価の差が大きい物件を持っている

  • 共有や借地権など、複雑な権利関係の不動産がある


④ 承継後の活用・運用までを見据える

相続は「終わり」ではなく、「資産の再スタート」です。
不動産鑑定士は、相続後の有効活用(賃貸化・売却・再開発など)まで見据え、
資産価値を維持・向上させる戦略的提案を行うことができます。


専門家が関わることで得られる3つのメリット

  1. 資産価値の「見える化」
     感覚ではなく、根拠のある数値で判断できる。

  2. 相続人間の「公平性」を客観的に説明できる
     トラブルの予防につながる。

  3. 税務・法務専門家との連携がスムーズ
     士業であることから他士業との連携もスームズに行うことができます。


まとめ:相続対策は“家族と専門家”のチーム戦

不動産を含む相続対策は、親の意思 × 専門家の知見 × 家族の理解がそろって初めて成功します。
「まだ早い」と思っているうちに、時間だけが過ぎてしまうケースも多いものです。

まずは、不動産の価値を正しく知ることから始めてみましょう。
不動産鑑定士が客観的に評価することで、最適な相続対策の第一歩を踏み出すことができます。

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