相続における不動産鑑定評価の活用

相続において、不動産は資産全体の中でも特に評価や分配が難しい財産のひとつです。
路線価や固定資産税評価額をもとに相続税評価額が算出されますが、土地の形状や利用状況によっては、これらの評価額が実際の時価と大きく異なる場合があります。

こうしたときに有効なのが、不動産鑑定士による「不動産鑑定評価」です。
専門家が客観的な手法で算定する鑑定評価額を活用することで、相続税の負担を適正化したり、遺産分割におけるトラブルを防ぐことが可能になります。

本記事では、相続における不動産鑑定評価の役割やメリット、活用方法について、専門家の視点からわかりやすく解説します。


相続税評価額が下がる可能性について

相続における土地の評価額は、通常「路線価」や「固定資産税評価額」に基づき、一定の倍率を乗じて算出されます。これらの評価は一般的に実際の取引価格(時価)よりも低くなる傾向があります。

しかし、相続対象の土地が袋地(旗竿地)や三角地などの不整形地、無道路地、崖地、または土壌汚染を含む土地などの場合、これらの特殊な条件が市場価値の低下要因として十分に反映されないことがあります。そのため、場合によっては時価のほうが評価額よりも低くなるケースも生じます。

このような特殊性を持つ土地では、不動産鑑定士による不動産鑑定評価を取得することで、相続税評価額をより実勢に即した「適正な時価」に修正できる場合があります。結果として、**相続税の負担軽減(節税)につながる可能性があります。

各ケースに応じた評価の考え方は、以下の関連記事をご参照ください。

各評価の考え方については下記を参照ください。

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遺産分割協議でのトラブル防止における鑑定評価の活用

遺産分割協議では、相続人全員の合意が必要となるため、意見の食い違いからトラブルへ発展することも少なくありません。特に遺産に不動産が含まれる場合は、資産全体に占める割合が大きくなるため、不動産を誰がどのように取得するかが争点になりやすい傾向にあります。

例えば、ある相続人が不動産を単独で相続する場合、他の相続人の**遺留分(法律上確保された最低限の取り分)**を侵害するおそれがあります。この際は、代償分割として、他の相続人に対し侵害分に相当する金銭等を支払う必要があります。

その際に不動産の「適正な時価」を正確に把握することが重要です。
不動産鑑定士による鑑定評価書を取得することで、公正な価格を基に協議を進められ、他の相続人への客観的な説明資料としても活用できるため、遺産分割トラブルの防止に大きく役立ちます。

 

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